同人誌



みなさまは同人誌という物を現実でご覧になったことがあるでしょうか。
わたしはつい先日、秋葉原フリーマーケットが開催されるとの情報を聞き、のこのこ出かけたあげく、あまり面白い物がございませんでしたので怪しげなお店に行っていわゆる同人誌を物色してきました。
探している作品になかなか出会えることができません。ウエダハジメの本は買えましたが、なんつーかこー内容しか覚えていない同人誌があって、まあそれがC.C.さくらの百合物で、若干鬱系の「詐称」のクロウカードが一枚増えて知世ちゃんがそれを手にしてさくらと戦っちゃうっていう本なんですが、無いですね。随分昔の本ですしね。
それはそれとして。

少々思い返すことがあったのでうだうだと書き綴ってみたいと思います。

高校三年の秋、暗黒の予備校生時代。夕方から夜の九時か十時頃までデッサンと油絵を描き、それから黒人達が跋扈する横浜駅から自宅までは電車とバスで一時間ちょっと。常時迷走と酩酊の間をゆらゆらふらふらとしていた時期の事でございます。
その頃の楽しみといえば、高校の図書室で借りるホラーとSFの文庫本と、時たま横浜のダイヤモンド地下街で開催される古本市での本の物色でした。当時から素敵な活字中毒者であった私は、予備校での制作が嫌になると近くのホームレスだらけの公園や、どうでもいいような場所で本を読んで現実逃避をしておりました。本当に心の弱いお子様でございます。
そのような訳で、学校で借りた本を予備校に着くまでに読み尽くしてしまうという事も少なくなく、帰りに古本市があると、画集を見る、という心の言い訳を用意して本を終電近くまで漁る事がしばしばでした。卑しいご身分でございます。

そんな中で、上記の画像の本を見つけたのでございます。
少しばかり内容を引用してみましょう。

 木村の指は中井の唇の間を割って、きれいな歯並びを確かめた。中居がそこを噛み締めたままでいると、くすくすと笑う気配がして「入れてくんねえの?」とほんの耳元で声がした。  中居は引きつるような浅い呼吸をした。木村の言葉に逆らいたかった訳ではなく、ただ体が固く強張っていうことをきかなかった。


勘の良い方はここでお分かりかと思います。そうです。SMAPのBLものです。
当時の純朴な私はこの342ページもの本を読み終わるまで、それが男同士の、ましてやSMAPに実在する人物をモデルとした創作小説であると気付く訳がございませんでした。なぜこのような本があの日の古本市にあったかは不明です。しかし、私は既に読み終えてしまいました。

これがわたくしの衝撃的な同人誌、ならびにBoys Loveものの初体験でございます。

この本の主眼は木村×中居でございますが、心情描写がきわめて丁寧かつ細やかで、ともすれば二人ともタチ役の女性に読めます。しかし、SMAPのメンツが所々に出て来て、しかもホモやバイでなくノンケだったりするので一気に現実に引き戻されて油断が出来ません。今読むと青汗を流しながら読む事になりそうですが、しかし当時の私はこれを「それ」と知らずに読んでしまったのです。

わたしがBoys Loveにそこまで嫌悪感を抱かずにいるのは、決して論理的な計算からではなく、意図せずにこうした回路を少年時代に組み込んでしまったからであると思われます。
若干不幸です。いやよくわかんないけれども!


最近の草磲さん騒動と連動して本の整理をした事で思い出した、どうでも良い話でした。
そういえば草磲剛さんが復活なさるそうですね。おめでとうございます。
わたしはこれからもSMAPを応援します。あくまでも普通の意味で。